1970年代を自分のものとし、若者の心を鷲掴みにしてしまったクールス。飛ぶ鳥を落とす勢いで世間を席巻していった。そんなクールスがキャロルから重大な依頼を受ける。
それは・・・
キャロルのラストコンサートだった。
キャロルのラストコンサートで会場での護衛をすることになった
クールス。そのときの、クールスのメンバーの心情に焦点を当ててお届けします。
この記事を見ることで、クールスメンバーの持っていた各々の気持ちや、当日の生々しい
舞台裏の様子まで分かるようになります。
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クールスメンバーのそれぞれのキャロルラストコンサートとは?
緊急ミーティングの連絡はターベが指揮を執ってしていた。
緊急ミーティングの前の日、たまたまレオンに行った時だった。
大将と滉ちゃんそして、キャロルのマネージャーの真下が何かを話しているところだった。
そこへ、俺とモガ、サム、ターベが入っていたっというわけ。
大将が俺たちを見つけて、ターベに「明日緊急ミーティングをするから招集してくれ」
「はい、わかりました。それでなんて言いますか?」
「詳しいことは明日話すけど、キャロルのコンサートでバックアップを
することになったんだ」
真下が、俺たちに向かって
「ピッピ選手、モガ選手、サム選手もよろしく頼みますよ」と言ってきた。
真下は面白いことに人を呼ぶときに名前の後に「選手」をつける
変わった野郎なんだ。
「いいよ、マッシー」と言ってハイライトに火をつけた。
モガもサムも快く、OKサインを真下に向けて出していた。
俺がディノ・バーガーについたと一緒ぐらいにショウーボウがガドカティの爆音とともに
やってきた。「ピッピさん、もうみんな集まっているんですか?」
「いや、俺も今来たところだ。」と。
ショーボウと一緒に中に入っていった。
みんな集まっていた。前回の緊急ミーティングではMC-sisterの取材の話だった。
今回はキャロルのバックアップと言っていたが・・・と考えていると
いつもの場所に陣取っていた晃ちゃんが口火を切った。
「キャロルが解散することになった」
「え!マジ!?」一斉に驚きの声が上がった。
誰ともなく、「解散のあの噂、本当だったんだね」
「これからキャロルどうするのかな~」などと怪訝そうな声が上がっている。
それを押しとどめるかのように大将が話し出した。
「4月13日に日比谷野音音楽堂でキャロルの解散コンサートを開く。テレビ放送されるので、手伝ってほしいと言ってきた。滉ちゃんとも相談して引き受けることにした」
秀光が怪訝そうな顔つきで、「それで俺たちは何をすればいいんだ?」
滉ちゃんが秀光に向って
「キャロルの連中を乗せて、表参道から野音までサポートする」
大将が続ける
「だから、いつも以上にクールスの格好を決めてテレビに出てくれな~秀坊」
「頭はリーゼント厳守で頼むぜ」と秀光をにらみつける。
モガが手を挙げた。
滉ちゃんが「なんだモガ?」と。
すると、「キャロルの連中もバイクに乗るんですか?」と。
大将は「ピッピ、またキタちゃんにビュウィック借りてもらえないかな~」
前回のMC-sisterの取材のときにも俺の友達のキタからビュウィックを借りていた。
キタは「俺の車が雑誌に載った!」と喜んでいた。
だから、今度も快く車を貸してくれるだろうと思っていた。
会場の警備も俺たちが受け持つことになっていた。
「アンパンしている奴らや、指示に従わないでステージに上がろうとする奴らなど
喧嘩はよくないけど、つまみ出してくれ」と。
「いやー面白くなってきた」と、ジェームスがボクシングスタイルをとる。
「でも、なんでこれからっている時に解散なんてするんだ?」とショーボウ。
誰となく・・・
「音楽の方向性が違ったんだろう? ギャラの格差のこともあるらしいよ。3年もすればいろいろあるんだろう」などと、口を突いて出てきた。
「方向性が違ったんだろう。始まりがあれば終わりがあるのが世の中の摂理だ」と。
独り言のように大将が口にした。
それを聞いていた晃ちゃんが「時がたてば人の気持ちも変わるっていうことだ」と、
しんみり。
「なにわともあれ、キャロルの連中に対するはなむけだと思って気を引き締めて
やってくれ!」と大将が結んだ。
クールスメンバー「これがクールスだぜ」と胸を張った
解散コンサートの当日は今にも雨が降ってきそうな曇天だった。
白いコンパーチブルのビュウィックに乗り込んでいた俺にゴウダが話しかけてきた。
「ピッピさん、今日これ運転でしょ?」と。
何時もサムを後ろに乗せてニタクをしているので、好都合と思いサムのことを
ゴウダに頼むことにした。
そんなやり取りをしていたら、打ち合わせを終えた大将と滉ちゃんそして、
テレビ局のプロデューサーが出てきた。
ビュウィックの周りにはメンバーたちの愛車が黒光りをしながら出番を待っている。
モガが「今日は俺のマシーンもそうだけど、リーゼントもばっちり決めてきたぜ」と。
すぐにでも出られるというジェスチャーをしてみせる。
ショーボウが続いた。「俺達にはテレビに出られる絶好のチャンスだからな~
目立ちたがり屋の俺たちにとっては最高だぜえ」と。
大将のゴーサインでみんなバイクを始動。
あたりを爆音がつんざく。テレビ局のクルーたちは耳をふさいでいる。
「どうだ、これが俺たちクールスだぜ!」とみんな胸を張っているようだ。
マチャミはリミッターが効かないようでZ1のスロットルを絞り後輪をスピンさせている。
あたりに白い煙が立ち上り、タイヤの焦げた匂いが鼻をついた。
そんなマチャミをいさめるようにゴウダが「ステイクールで行こうぜ」と言った。
しかし、そんなゴウダの顔も硬直して真っ赤になっていた。
「それでは皆さん、お願いします」と監督がうなった。
ADに引率されたキャロルのメンバー4人がビュウィックに乗り込んだ。
撮影隊の準備ができたようだった。
俺のところに来た真下が「ピッピ選手、今日は頼みますよ」と。
俺は真下に「お~まかしてくれ」と右手の親指を突き立てた。
監督の大声が鳴り響く。
そして、大将が右手を大きく振り上げた。
バイクにまたがり黒の軍団がゆっくりと走り出した。
大将のカフェレーサー仕様のZⅡを先頭に滉ちゃんのZⅡ、ムラのFXEそして、
マチャミのZ1、ショーボウのドカティ、ゴウダのサイドバルブが続く。
そのあとに俺たちを乗せたビュウィックが続いていた。
野音ではすでに「キャロル、キャロル、キャロル」の大合唱だった。
野音は熱気に満ち溢れたオーディエンスであふれかえっていた。
さーいよいよ長い一日がはじまる!
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